研究開発を促進させる熱分析装置導入支援メディア│ネツブンフィット » 熱分析装置の分類 » DSC

DSC

製品特徴で選ぶ
DSC(示差走査熱量計)3選

目的にあった性能・特徴で製品選びをすることにより、さらに実験精度を高めたり、効率的に実験結果を得ることができるようになります。
ここでは、各目的ごとに適した性能・特徴を持つDSC製品・メーカーを3種紹介しています。

▼スクロールできます▼

商品例 商品画像 特徴部分
研究プロセスの
改良を助ける
Discovery DSC 2500
(ティー・エイ・
インスツルメント・
ジャパン)
Discovery DSC 2500(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン)
画像引用元:ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン公式HP(https://www.tainstruments.com/discovery-dsc-series/?lang=ja)
研究・開発の
高度化に
高い精度と効率で応える
特許取得済み技術により±0.005°Cという精細な温度精度・高分解能を誇りつつ、アプリライクなタッチ画面による効率的な操作感を実現。一度の実行で比熱容量測定と保存を同時に行うことが可能で、測定プロセスの最適化とコスト削減、取得データの一貫性・信頼性の向上に寄与します。
材料加工の
見直しを助ける
NEXTA® DSC
(日立ハイテク)
NEXTA® DSC(日立ハイテク)
画像引用元:日立ハイテク公式HP(https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/products/analytical-systems/thermal-analysis/nexta-dsc.html)
微細な
熱特性変化を
見逃さない機構と性能
200万画素の高解像カメラを搭載、温度変調DSCにも対応し、局所的な試料観察に適しています。試料の融解やガラス転移などの過程を詳細に観察することが可能となり、材料特性を正確に見極め、より適した加工条件を導き出すことに貢献します。
無人検査の
安定化を助ける
DSCvesta2
(リガク)
DSCvesta2(リガク)
画像引用元:リガク公式HP(https://rigaku.com/ja/products/thermal-analysis/dsc/dscvesta2)
正常な
検査環境を
測定前に装置が
自己診断
装置自体に正常な動作が行えるかを自動で診断する機能が搭載されており、測定前に問題を早期発見・対応することができます。28試料までセット&1000連続測定が可能、膨大な測定点数への対応や長時間の無人測定に適した製品です。
【基本仕様】 【構造・技術的特徴】
測定温度範囲 測定温度精度 RMSノイズ 感度 ベースライン平坦性 ベースライン再現性 センサー技術 モジュレイテッドDSC オートサンプラー
Discovery DSC 2500
(ティー・エイ・インスツルメント)
-180~725℃ ±0.005℃ 0.2μW
(-50~300℃)
0.001μW ≤5 μW
(-50~300℃)
<10 μW (-50~300℃)
*空パンで10回測定, 各測定間でチャンバーを開放
Fusion Cell™, T4P Tzero® 標準装備(MDSC®) 標準装備
(54ポジション)
NEXTA DSC 600
(日立ハイテク)
-150~725℃ ±0.05% 0.05μW 0.1μW - 5 μW (-50℃~300℃, 10℃/min) 中心熱流方式, マルチ熱電対サーモパイル型センサー オプション
(温度変調DSC)
オプション
(最大50個)
DSCvesta2
(リガク)
-180~725℃ ±1% 0.05 μW - - ±5 μW 新開発 xsensor, △Block®構造
目次

DSC(示差走査熱量計)は、材料の融点や結晶化温度、ガラス転移温度を正確に測定する装置で、製品の品質保証において重要なデータが得られます。例えば、ポリマーや医薬品の開発において、DSCを活用することで、新材料の設計や製造プロセスを効果的に進められるでしょう。

さらに、DSCは試料の熱的挙動をリアルタイムで観察できるため、材料の安定性や劣化のメカニズムを理解するのにも役立ちます。結果として、実験の効率が上がり、研究開発の速度と精度が向上するでしょう。

DSCの基礎知識

DSCとは?

DSCは「示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry)」のことで、物質が温度とともにどんな変化をするかを調べる道具です。たとえばアイスクリームが溶けるときに必要な熱や、プラスチックが柔らかくなる温度などをこの装置で測れます。装置の中では、調べたいサンプルと変化しにくい基準物質を一緒に暖めたり冷やしたりし、そのときにかかる熱の差を記録します。こうして得られたグラフを見ると、物質がどの温度でどんな反応をしたかが目に見えるようになります。

DSCの測定原理

熱流束型DSCと入力補償型DSCの比較

DSCの原理

DSCには大きく分けて二つの方式があります。ひとつは熱流束型で、サンプルと基準を同時に同じ炉に入れて温度差を測るシンプルな方法です。もうひとつは入力補償型で、二つのヒーターを別々に動かし、温度をそろえるために使った熱の量を測ります。熱流束型は装置が簡単で扱いやすく、入力補償型は温度が急に変わる場面で細かい変化をキャッチしやすい特徴があります。

装置構成と主要コンポーネント

DSC装置は大きく分けて、サンプルを入れるパン、基準用のパン、温度を測るセンサー、温度を上げ下げする炉、そしてそれらをコントロールする本体ユニットからできています。サンプルパンと基準パンを同じ温度プログラムで加熱・冷却し、パンの温度差やヒーターへの入力量をセンサーが捉えて記録します。専用ソフトでグラフ化して、物質の熱反応をわかりやすく表示します。

DSCで得られる情報

DSCで何が分かるのか

主な熱イベント(ガラス転移・融解・結晶化など)

DSCのグラフには、物質のさまざまな変化がピークや山として現れます。ガラス転移ではグラフがゆるやかにずれて、プラスチックやゴムの柔らかくなる温度を教えてくれます。結晶化のときは山が出て、固体が結晶化する温度とその進み具合がわかります。アイスクリームやチョコレートのように溶けるときには吸熱ピークが見え、融点や純度の目安になります。

発熱ピーク(結晶化・架橋・酸化など)

DSCの発熱ピークは、材料が熱を放出する反応・相変化の山で、結晶化/冷結晶化・架橋・酸化が代表例です。装置設定で極性(endotherm up/down)が逆転するため必ず確認しましょう。ピーク面積は反応エンタルピー=進行量や結晶化度の指標。onset・peak・endsetの決定と加熱速度・試料量・雰囲気で形状が変わります。吸熱と重なる場合はMDSCで可逆/非可逆を分離。空気か不活性かで酸化発熱は大きく異なり、極性確認・ベースライン処理・条件標準化が精度を支えます。

エンタルピーや比熱容量の評価方法

DSCで得られたピークの面積を使って、その変化に必要な熱量(エンタルピー)を計算します。また、一定の温度範囲でどれだけ熱を蓄えられるか(比熱容量)も測れます。パソコンのソフトがベースライン補正やピークの面積計算を自動で行ってくれるため、初心者でも測定結果を簡単に数字で比較できます。

DSCを導入する意義とメリット

DSCを利用する具体的なメリット

高精度なデータ取得

DSCは、材料が温度変化に伴って発生する微小な熱変化を高感度で捉えることができ、材料の特性評価に非常に有効です。そのため、新材料の開発や既存製品の改良において、信頼性の高いデータを得られます。

実験の効率化

DSCは、一度の測定で複数の材料や試料を同時に分析できるため、短時間で多くのデータを収集できるのがメリットです。また、熱重量分析(TGA)や赤外分光法(FTIR)と組み合わせることで、材料の熱分解挙動や化学的変化の詳細を把握し、開発プロセスをさらにスムーズに進められるでしょう。結果、実験の効率が向上します。

コスト削減

DSCは、一台で複数の測定を行えるため、装置の導入や運用にかかるコストの削減が可能です。また、使用する試料も少量で済むため、材料費も節約できます。さらに、複数の特性を同時に解析できるため、実験回数も減少。このように、さまざまな面において費用や時間といったコストを抑えられます。

DSCの活用分野と応用例

DSCの応用例

高分子材料・樹脂の開発

プラスチックや樹脂の研究では、DSCが欠かせません。たとえば、新しいプラスチックにどれくらい熱をかけると柔らかくなるか、何度で固まるかを調べることで、素材の特性を設計できます。食品包装や自動車部品の耐熱性能チェックにも使われます。

医薬品・食品の品質管理

薬品と食品の品質・安全管理の現場でも DSC は欠かせません。 医薬品では、API や錠剤について DSC で融点・ガラス転移点・多形転移・結晶度を定量し、その熱データを in-vitro溶出試験や in-vivo薬物動態モデルへ組み込むことで IVIVC(in-vitro/in-vivo 相関)を構築し、体内での溶解挙動や有効成分放出の予測精度を高められます。ただしDSC単独で溶出速度や薬効を決めることはできないため、USP準拠の溶出試験(37 °C)と併用するのが前提です。

食品・油脂では、ココアバターやバターのような脂質の融解プロファイルをDSCで測定すると、ポリモルフィズム(I〜VI形)や吸熱ピークの面積比から、口どけ・スナップ・光沢といった官能特性が定量的に読み取れます。この情報をもとにテンパリング温度や冷却・貯蔵条件を最適化し、狙いどおりの食感と安定性を設計できます。

DSCを用いた熱分析の具体的な事例

同じ設計の部品で、なぜ一方が壊れるのか?

ある自動車部品メーカーでは、見た目も材質も同じはずの2つの部品のうち、片方だけが使用中に破損しやすいという問題が発生していました。

そこで注目されたのが、成形時の温度条件の違いです。部品に使用されている熱可塑性プラスチックの「結晶化度」を調べることで、その影響を明らかにしようとしたのです。

結晶化度が高すぎると脆くなる
自動車部品事例

画像引用元:ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン公式サイト(https://www.tainstruments.com/pdf/literature/TS68.pdf)

DSCを用いてそれぞれの部品を加熱し、結晶化の度合いを測定したところ、以下の結果が得られました。

  • 良品:結晶化度 77.28%
  • 不良品:結晶化度 85.85%

この差が示すのは、不良品のほうが結晶化が進んでいたという事実。プラスチックは結晶化度が高くなるほど硬くなりますが、同時に衝撃には弱くなる性質があります。今回の不具合も、この特性が影響していたと考えられます。

予防と改善に活かせる「熱分析」

この事例は、DSCを使って材料の結晶化状態を定量的に把握することが、製品の性能予測や不具合の予防につながることを示しています。

製造現場では以下のような活用が期待できます。

  • 成形条件の適正化
  • 製品不良の原因分析
  • 材料選定時の比較評価

参照元:ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン公式サイト(https://www.tainstruments.com/pdf/literature/TS68.pdf)

同じOリングなのに、なぜ性能が違う?

ある高機能部品メーカーでは、同じ設計・同じ材料配合のOリング部品にもかかわらず、使い始めてすぐに変形・劣化するものがあるという報告が寄せられていました。

使用されているのは、耐熱性や耐薬品性に優れたPTFE(フッ素樹脂)/PEEK(耐熱性樹脂)/カーボンファイバーの複合材。外観や配合に問題がない中で注目されたのが、「製造時の熱履歴の違い」でした。

熱処理が結晶構造を左右する

DSC(示差走査熱量測定)を使って、Oリングを加熱した際の熱的な挙動を調べたところ、以下のような変化が確認されました。

  • 未処理サンプル:融解前に冷結晶化が発生
  • 熱処理済みサンプル:冷結晶化が完了し、結晶が安定化

さらに熱処理後のサンプルでは、ガラス転移温度(Tg)が上昇していました。これは分子の動きが制限され、内部構造がより結晶化していたことを示しています。逆に言えば、成形後の熱処理条件によって、同じ材料でも性能に差が出るということです。

微妙な違いが寿命を左右する
高機能部品事例

画像引用元:ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン公式サイト(https://www.tainstruments.com/pdf/literature/TS70.pdf)

この事例では、わずかな熱処理の違いが結晶化状態に影響し、最終的な耐久性や柔軟性に差を生んでいた可能性があります。特にPTFEやPEEKは、加工温度が構造安定性に直結する繊細な材料です。

DSC分析によって、製造過程でどこに変化が生じているのかを「数値」として把握することで、以下のような改善に活かすことができます。

  • 熱処理工程の最適化
  • 部品性能の均一化
  • 材料の構造状態を考慮した設計変更
DSCで“見えない違い”を見つける

同じ材料でも、加工の仕方一つで結晶構造や分子の動きに違いが生じます。そうした「見えない変化」をとらえるのがDSCの強み。PTFE/PEEK/カーボンファイバーといった高機能材料こそ、熱分析による品質管理が鍵を握ります。

もし「スペック通りのはずなのに、なぜか壊れる」「性能にバラつきがある」といった悩みがあるなら、一度DSCでその“中身”を見てみると、原因が見えてくるかもしれません。

参照元:ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン公式サイト(https://www.tainstruments.com/pdf/literature/TS70.pdf)

複数ピークの正体は?医薬品の熱的ふるまいを見抜く「MDSC」の力

ある製薬企業では、見た目も組成も同じとされる医薬化合物で、製造後の安定性に差が出るという現象が発生していました。

中でも問題視されたのが、60℃と130℃付近に現れる2つの吸熱ピーク。一体この正体は何なのか?
従来の測定では正確な判断ができず、そこで注目されたのが「MDSC(変調DSC)」です。

ガラス転移か?融解か?MDSCが示した“分離のチカラ”
製薬事例

画像引用元:ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン公式サイト(https://www.tainstruments.com/pdf/literature/TS44.pdf)

DSC(示差走査熱量測定)で観察されたピークは、単なる「2段階の融解」に見えました。
しかし、MDSCを使って可逆成分(比熱イベント)非可逆成分(動力学イベント)に分離したところ、次のような結果が得られました:

  • 60℃のピーク:ガラス転移(Tg)
  • 130℃のピーク:融解

このように、同じ“熱の吸収”でも、その中身がまったく違うことをMDSCが明らかにしたのです。

なぜTgの特定が重要なのか?

Tg(ガラス転移点)は、医薬品の構造や性能が大きく変わる境界点。この温度を超えると、材料の柔軟性、拡散性、水分吸収性などが急変し、以下のような課題が起こり得ます:

  • 保存中の性状変化
  • 錠剤の割れ・崩壊
  • 薬効成分の分解促進

つまり、Tgを特定できる=製品設計の安全性が高まるということになります。

熱分析が示す“目に見えない違い”

この事例は、標準的なDSCだけでは見落とされる熱的特性を、MDSCが定量的に把握できることを示しています。
特に以下のような用途において、MDSCは強力な分析ツールとなり得ます。

  • 材料のモルフォロジー評価
  • 製造条件の最適化
  • 異物や不具合の原因解明
  • 新薬開発における材料選定

参照元:ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン公式サイト(https://www.tainstruments.com/pdf/literature/TS44.pdf)

見た目ではわからない違いを「熱分析」で明らかに

一見、同じように見える粉末でも、熱的な性質には大きな違いが隠れていることがあります。

食品や医薬品に使われる「乳糖」を例に、そんな違いを見極めるために用いられたのが、MDSC(変調DSC)という分析手法です。

標準DSCでは見えにくい「ガラス転移温度」
粉末事例

画像引用元:ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン公式サイト(https://www.tainstruments.com/pdf/literature/TS43.pdf)

乳糖はガラス状の状態からゴム状へ変化する「ガラス転移」という性質を持ちますが、通常のDSCではこの転移が他の熱現象(たとえば水分の蒸発など)に隠れてしまい、正確に捉えるのが難しいという課題がありました。

そこで使われたのが、DSCを進化させたMDSC。これにより、以下のような結果が得られました。

  • ガラス転移温度(Tg)を116.05℃と明確に検出
  • 水分の蒸発やエンタルピー緩和といった他の熱現象と分離して評価

この分析により、乳糖のガラス転移がもたらす特性変化を正確に把握でき、製品設計や製造プロセスに役立てることができました。

わずかな違いが、品質を左右する

粉末の取り扱いや保存条件、加工プロセスのわずかな違いが、材料の熱的性質に影響を与え、製品の安定性や溶解性にまで関わってきます。

MDSCを用いることで、こうした“目に見えない違い”を数値として可視化することができるのです。

製造現場での活用イメージ

このような熱分析は、以下のような場面で活用が期待されます。

  • 粉末の安定性評価と保存条件の見直し
  • 医薬品や食品の配合設計での材料選定
  • 製品不良や変質トラブルの原因分析

参照元:ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン公式サイト(https://www.tainstruments.com/pdf/literature/TS43.pdf)

製品選定と比較検討のポイント

DSC製品の選定をするには

測定温度範囲と感度

DSCを選定する際には、対象とする材料や用途に適した温度範囲と感度を持つ装置を選ぶことが重要です。幅広い温度範囲に対応できる装置は、多様な材料を効率的に分析できるため、特に研究開発において重宝するでしょう。

多機能性と汎用性

DSCを選ぶ際には、多機能性と汎用性を基準に選びましょう。例えば、温度変調DSC(MTDSC)の機能を備えたモデルは、材料の可逆・不可逆成分を分離して解析するのに適しています。こうした機能を持つDSCは、さまざまな材料の特性を詳細に解析でき、幅広い研究開発ニーズに対応できます。

選定時には、目的に応じた多機能性と汎用性を持つモデルを検討するようにしてください。

DSCの導入で期待される成果

DSCの導入により、材料の熱的特性を迅速かつ正確に解析できるため、研究開発のスピードと精度が向上します。例えば、ポリマーや医薬品の開発において、DSCは融点、結晶化温度、ガラス転移温度などを測定することで、材料が環境変化に対してどれだけ安定しているか、また期待される特性をどの程度発揮できるかを評価し、最適な製造条件を導き出します。

他の熱分析手法との比較

DSC vs DTA

DSCもDTAも試料と基準の温度差を利用しますが、DSCは熱流を定量的に測定し、DTAは温度差そのものを観察する違いがあります。DSCは熱量を正確に求めやすく、DTAは装置がシンプルでコストが抑えられます

DSC vs TGA/DMA

TGAは物質の重さの変化を見て、分解温度や含水率を調べる手法です。DMAは物質の硬さややわらかさの変化を機械的に測ります。DSCは熱の流れを測るので、それぞれの手法を組み合わせることで物質の性質をより深く理解できます。

測定・解析における実務ポイント

実験条件とデータ解析のポイント

サンプル調製と測定パラメータ

DSC測定では、サンプルの重さや加熱速度を適切に設定することが大切です。通常は2~10mg程度のサンプルを、10℃/分など決まった速度で走査します。重すぎると熱が伝わりにくくなるため、適切な量を守りましょう。

ベースライン補正とピーク解析

測定結果には誤差が出ることがあるため、まず空のパンで得たデータを引いてベースラインを整えます。その上でソフトの自動解析機能を使ってピークを計算すると、誰でも安定した結果が得られます。

よくある問題の対処法とデータ精度の保ち方

よくある誤差要因と対策

ベースラインが揺れるときは、装置の空パン測定を増やしたり、センサーをクリーニングすると改善します。サンプルとパンの接触が悪いとピークが弱くなるので、パン底をきれいにして密着させることがポイントです。

キャリブレーション・メンテナンス

定期的に純度の高い基準物質(インジウムなど)でテストを行い、その結果を装置に登録して温度と熱量の測定精度を保ちます。半年ごとや使用時間基準でメンテナンスを行い、常に正確なデータを得られるようにしましょう。

まとめ

研究室の目的や課題に応じてDSCの導入・刷新を行うことは、材料特性の正確な評価やデータの信頼性向上、作業効率の改善、新技術への対応など、研究開発プロセス全体の改善に大きく貢献します。

とくに、分析の簡便さや精度の向上はダイレクトに研究開発のスピードアップやコスト削減につながり、競争力を高める重要な要素にもなります。

当サイトでは、研究開発部門向けに用途に適した熱分析装置メーカーを紹介しています。DSCを含む熱分析装置をお探しの方は、ぜひ参考にしてください。

製品特徴で選ぶ
DSC(示差走査熱量計)3選
目的・用途にあった性能・特徴で製品選びをすることにより、さらに実験精度を高めたり、効率的に実験結果を得ることができるようになります。
ここでは、各目的ごとに適した性能・特徴を持つDSC製品・メーカーを3種紹介しています。

▼スクロールできます▼

商品例 商品画像 特徴部分
研究プロセスの
改良を助ける
Discovery DSC 2500
(ティー・エイ・
インスツルメント・
ジャパン)
Discovery DSC 2500(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン)
画像引用元:ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン公式HP(https://www.tainstruments.com/discovery-dsc-series/?lang=ja)
研究・開発の高度化に
高い精度と効率で
応える
特許取得済み技術により±0.005°Cという精細な温度精度・高分解能を誇りつつ、アプリライクなタッチ画面による効率的な操作感を実現。一度の実行で比熱容量測定と保存を同時に行うことが可能で、測定プロセスの最適化とコスト削減、取得データの一貫性・信頼性の向上に寄与します。
材料加工の
見直しを助ける
NEXTA® DSC
(日立ハイテク)
NEXTA® DSC(日立ハイテク)
画像引用元:日立ハイテク公式HP(https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/products/analytical-systems/thermal-analysis/nexta-dsc.html)
微細な熱特性変化を
見逃さない機構と性能
200万画素の高解像カメラを搭載、温度変調DSCにも対応し、局所的な試料観察に適しています。試料の融解やガラス転移などの過程を詳細に観察することが可能となり、材料特性を正確に見極め、より適した加工条件を導き出すことに貢献します。
無人検査の
安定化を助ける
DSCvesta2(リガク)
DSCvesta2(リガク)
画像引用元:リガク公式HP(https://rigaku.com/ja/products/thermal-analysis/dsc/dscvesta2)
正常な検査環境を
測定前に装置が
自己診断
装置自体に正常な動作が行えるかを自動で診断する機能が搭載されており、測定前に問題を早期発見・対応することができます。28試料までセット&1000連続測定が可能、膨大な測定点数への対応や長時間の無人測定に適した製品です。
【PR】ティー・エイ・インスツルメント・ジャパンの熱分析装置の無料見積相談はこちら

製品特徴で選ぶ
示差走査熱量計
3選