動的粘弾性分析(DMA)は、材料の粘弾性特性を高精度で評価するための重要な手法です。DMAの導入により、材料の動的挙動を詳細に解析し、新素材の開発や既存製品の改良において、研究開発の効率と精度が向上します。また、製品の信頼性を高め、市場競争力を強化するための重要なツールとして機能します。
DMA(動的粘弾性分析)は、材料に周期的な応力を加え、その応答を測定することで、材料の剛性やエネルギー散逸特性を評価する手法です。温度や周波数の変化に応じた材料の挙動を解析し、ガラス転移温度(Tg)や動的弾性率など、重要な物性を明らかにします。結果、製品の設計や製造プロセスにおいて、最適な材料選定が可能になります。
弾性とは、物体に外部から力を加えると変形し、その力を取り除くと元の形に完全に戻る性質を指します。ばねを想像すると分かりやすいでしょう。力を加えると伸び縮みし、その力を放すと元の形にしっかり戻ります。これは、フックの法則という、加えた力と変形の大きさが比例する関係に従っているためです。理想的な弾性体では、このように力を加えてもエネルギーが無駄なく内部に蓄えられ、力を取り除けばその蓄えられたエネルギーを使って元の形に戻るのです。
粘性とは、流体の流れにくさ、ねばり強さを示す性質です。例えば、水とハチミツを比べると、ハチミツの方が粘性が高い(流れにくい)と言えます。粘性を持つ物体が変形する際には、その変形の速さに応じて内部で抵抗力が生じます。この抵抗力は、加えられたエネルギーを熱として消費してしまうため、エネルギーは元の形に戻るために使われず、失われていきます。ハチミツのように、速く動かそうとするほど抵抗力が大きくなるのが、このような粘性体の特徴です。
粘弾性とは、弾性と粘性の両方の性質を併せ持つ物質の挙動を指します。多くの高分子材料(プラスチックやゴムなど)は、この粘弾性という複雑な性質を示します。力を加えると変形しますが、力を取り除いてもすぐには元に戻らず、時間とともにゆっくりと元の形に戻ろうとしたり、一部変形が残ったりします。
また、温度や力を加える速さ(周波数)によって、弾性的な振る舞いが強くなったり、粘性的な振る舞いが強くなったりするのが大きな特徴です。この特性を理解することが、材料の性能を評価し、適切に使用するために非常に重要となります。
動的粘弾性測定(DMA)は、材料の粘弾性特性を精密に評価するための手法です。その原理は、試料に一定の速さで繰り返し力を加えたり(応力)、変形させたり(ひずみ)して、その材料がどのように応答するかを測定することにあります。
もし試料が完璧な弾性体であれば、加えた力とそれによって生じる変形は全く同じタイミングで現れます(位相が一致します)。しかし、粘弾性体の場合、粘性の影響によって、変形(ひずみ)の応答は加えた力(応力)よりもわずかに遅れて現れます。このタイミングのずれを「位相の遅れ(δ)」と呼びます。
DMAでは、この加えた力と生じた変形の「大きさの比」と「位相の遅れ(δ)」を解析します。
DMAは、温度や周波数に応じた材料の動的特性を詳細に評価できます。これにより、製品の設計や開発に必要な正確なデータを得ることが可能です。異なる環境条件下での材料の挙動を理解することで、製品の信頼性や性能を最適化し、開発の精度も高まるでしょう。
DMAは、ポリマー材料のガラス転移温度(Tg)を正確に測定することができます。測定によって、製品の使用環境に最も適した材料を選定でき、製品の耐久性や品質を向上させるためのデータが得られます。それをもとに適切な材料を選ぶことで、製品のライフサイクルコストを削減することも可能です。
DMAを使用することで、材料のクリープ挙動や応力緩和特性を評価し、製品の長期的な耐久性や信頼性を確認できます。測定によって製品の寿命を正確に予測し、長期間使用される製品に対しても、安定した品質の材料を選べるでしょう。特に過酷な環境での使用が想定される製品にとって、重要なメリットです。
DMA装置を選定する際には、対象となる材料の評価に必要な温度範囲に対応できる機種を選ぶことが重要です。材料の温度依存性を評価するために広範な温度範囲での測定が可能な装置を選ぶことで、製品開発や研究の幅を広げられます。
DMA装置を選定する際には、引張り、圧縮、せん断など、複数の測定モードに対応できる多機能モデルを選ぶことを検討しましょう。多機能な装置であれば、さまざまな材料特性を詳細に評価でき、幅広い材料の特性評価や製品開発に役立つデータを取得できます。
DMAの導入により、研究開発プロセスのスピードと精度が向上し、製品の品質管理や新素材の開発を効率化できます。また、材料の動的特性を詳細に評価することで、製品の長期的な信頼性が向上し、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。また、製品の市場投入までの期間が短縮されれば、自社の競争力を強化できます。
新しいDMA装置の導入や刷新により、研究開発プロセスが効率化され、材料の特性をより正確に評価できるようになるため、材料選定や設計の質が向上します。とくに、ガラス転移温度やクリープ、応力緩和などは特性を高精度に測定することで、製品の性能や耐久性の最適化にもつながります。 また、多様な測定モードや周波数・温度依存性の評価ができる製品であれば、実際の使用条件に近い製品開発も可能となります。
本サイトでは、研究開発部門向けに、各製品の特徴をもとにした熱分析装置メーカーをご紹介しています。
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| 商品例 | 商品画像 | 特徴部分 |
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研究プロセスの
改良を助ける Discovery DSC 2500
(ティー・エイ・ インスツルメント・ ジャパン) |
画像引用元:ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン公式HP(https://www.tainstruments.com/discovery-dsc-series/?lang=ja)
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研究・開発の高度化に
特許取得済み技術により±0.005°Cという精細な温度精度・高分解能を誇りつつ、アプリライクなタッチ画面による効率的な操作感を実現。一度の実行で比熱容量測定と保存を同時に行うことが可能で、測定プロセスの最適化とコスト削減、取得データの一貫性・信頼性の向上に寄与します。
高い精度と効率で 応える |
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材料加工の
見直しを助ける NEXTA® DSC
(日立ハイテク) |
画像引用元:日立ハイテク公式HP(https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/products/analytical-systems/thermal-analysis/nexta-dsc.html)
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微細な熱特性変化を
200万画素の高解像カメラを搭載、温度変調DSCにも対応し、局所的な試料観察に適しています。試料の融解やガラス転移などの過程を詳細に観察することが可能となり、材料特性を正確に見極め、より適した加工条件を導き出すことに貢献します。
見逃さない機構と性能 |
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無人検査の
安定化を助ける DSCvesta2(リガク)
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画像引用元:リガク公式HP(https://rigaku.com/ja/products/thermal-analysis/dsc/dscvesta2)
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正常な検査環境を
装置自体に正常な動作が行えるかを自動で診断する機能が搭載されており、測定前に問題を早期発見・対応することができます。28試料までセット&1000連続測定が可能、膨大な測定点数への対応や長時間の無人測定に適した製品です。
測定前に装置が 自己診断 |